卒業生の今長 学さんが“実践マーケティング”特別講義

――お客様から「売ってほしい」と頼まれる商品づくりを在学生と探究

6 月下旬、本学情報文化学科(現・情報メディア学科)2006 年卒業生でマーケティングコンサルタントとして活躍する 今長 学(いまなが まなぶ)さんが来校し、在学生約30 名を対象に 2時間の特別講義を行いました。

テーマは「お客様から“売ってほしい”と言われる商品の作り方」。

飲食店をコロナ前比120 %まで回復させた施策や、ラーメン店 EC 立ち上げ即三大モール1位獲得など、現場最前線の成功事例をふんだんに盛り込みながら、“売上方程式”を紐解く濃密な時間となりました。

本記事では 講義の狙い、内容、学生の学び を お届けします。

1.講師紹介――“現場主義”を貫くマーケターの原点

今長さんは経済産業省の 経営革新等認定支援機関 として企業80社以上のコンサルティングを実施。
県内外の中小企業アドバイザー、上級SNSマネージャーなど数多くの肩書きを持ち、飲食・小売・福祉・製造まで幅広い支援実績を誇ります。
講義冒頭のスライドには、売上改善や新商品開発の成果がズラリと並び、学生の視線を釘付けにしました。

2.特別講義の目的と全体設計

掲げた3つの目的

①“選ばれる価値”を設計する思考法を身につける
②質疑応答を通じてマーケティングプロセスを疑似体験する
③現役マーケターとの対話でキャリアの可能性を発見し、自身の行動計画を描く

3.講義ハイライト――理論と実践を往復する5つの柱

3-1 売上方程式「商品 × 戦略 × メンタル」

今長さんはスライド一面に 売上=商品×戦略×メンタル を提示。「どれか一つでもゼロなら結果もゼロ。掛け算だから三要素を同時に高めれば売上は倍々ゲームで伸びる」と強調しました。

3-2 ビジネスは“6つの問題”の解決

ビジネスが解決すべき顧客課題を 不安・不満・悩み・痛み・解決したい問題・満たしたい欲 の6分類で整理。飲食店利用者が抱える「料理準備の面倒」や「孤独感」など具体例を示し、「課題の深さ=価値の深さ」であると説きました。

3-3 マーケティング・フレームワーク(WHO×WHAT→4P)

理念(パーパス)を起点に「誰に(WHO)」「どんな価値を(WHAT)」を定め、その後に Product / Price / Place / Promotion を設計する“三角形モデル”を解説。

3-4 競合分析――直接競合と間接競合、そして“選ばれる価値”

「同じ価値を提供すると価格競争に陥る。お客様に必要とされ、かつ他社にない価値を交点に戦う場所を定めよ」と語り、スターバックスとエステサロンのマッピング図を提示して理解を促しました。

3-5 9ステップ商品開発プロセス

需要調査からテストマーケティングまでの9工程を時系列で整理。実案件での失敗談(テスト不足で在庫過多、価格改定で炎上)も包み隠さず共有し、「検証のない開発はギャンブル」と警鐘を鳴らしました。

4.学生のリアルボイス――講義がもたらした気づき

マーケティングとは何かがよくわかった。お客様の事をもっと考えて商品開発を行っていきたい。

数字を伴う事例のおかげで“売上方程式”が腑に落ちた。

質疑応答で「どう失敗と向き合うか」を聞けたことが一番の収穫

5.校友会からのメッセージ――“つながり”が学びと成長を加速させる

この特別講義は大学と校友会がタッグを組んだ初の本格プロジェクトです。今後も在学生と卒業生、企業をつなぐイベントを開催していきたいと思っています。
校友会はこれからも卒業生や大学の為になる価値貢献活動を行っていきます。

6.まとめ――講義から導かれた4つの金言

売上は「商品×戦略×メンタル」の掛け算で決まる
ビジネスは“お客様の6つの問題”を解決する営みである
理念→WHO→WHAT→4P の順で価値を設計せよ
競合と差別化する“選ばれる価値”が価格競争を回避する鍵

今長さんが繰り返し語ったのは、「売上は『商品×戦略×メンタル』の掛け算」「ビジネスはお客様の6つの問題を解決する営み」「理念からターゲットと価値を定義して4Pを設計する」「競合が真似できない独自価値こそ価格競争を回避する鍵」「数字とストーリーの両輪がそろってこそ学びは次世代へ伝わる」という5つの金言でした。

講義を終えた学生の多くが「マーケティングは人を幸せにする学問」という確かな火を胸に灯し、その炎は校友会というネットワークを介して次の世代へ引き継がれていくはずです。