卒業生が大学の「知識創造の方法」という授業に参画しました

この度、校友会の活動の一環として、卒業生である今長学氏と複数の社会人メンターが、母校の「知識創造の方法」という授業にメンターとしてご参加くださいました。

今長氏からは「20代の投票率を60%にするには」、他メンターからは「あなたは“幸せになる力”を持っているか?」、「堕落する人の共通の特徴と、貴方のこの3年間のコミット」、「不登校状態でも ⼈・こと・場所と出会い ⾃分らしい社会的⾃⽴へと つながる仕組み」といった多様なテーマが学生に提示されました。

単なる授業という枠を超え、卒業生や社会人が大学の教育現場へと深くコミットするこの試みは、現役学生たちにとってかけがえのない実践的学びの機会を提供するとともに、校友会の活動の新たな地平を切り拓く、まさに画期的な一歩となりました。
これは、校友会が大学と連携し、互いに高め合う共創のモデルを示すものです。

「知識創造の方法」という授業とは?知的好奇心と探究心が交錯する学びの舞台裏

「知識創造の方法」という授業は、単に既存の知識を詰め込むだけの科目ではありません。
学生たちが自らの内なる知的好奇心を刺激され、社会や世界に存在する「問い」を自ら見つけ出すことから始まります。

この授業では、社会人メンターがそれぞれテーマを提示し、学生はその中から希望するテーマを選択します。選ばれたテーマごとにチームが編成され、各チームはそのテーマの問題解決方法を考察し、最終的にプレゼンテーションを行います。

試行錯誤の末、彼らは自分たちなりの「答え」を導き出し、最終プレゼンテーションという舞台でその成果を世に問います。このプロセスを通じて、学生たちは論理的思考力、問題解決能力、そして何よりも「チームで何かを成し遂げる力」を養うことを目的としています。

2025年度の最終プレゼンテーションは7月19日。学生たちの真剣な眼差しと、これまでの努力の結晶ともいえるプレゼンテーションは、教員はもちろんのこと、メンターとして見守る方々の胸にも深く刻まれたことでしょう。

経験豊富な社会人メンター陣が学生を導く

今年度の「知識創造の方法」という授業には、様々な分野で活躍する社会人メンターが参加し、それぞれの専門性と経験を活かして学生たちを指導しました。これは、校友会が推進する「卒業生による後輩支援プロジェクト」の一環であると同時に、社会全体で未来を担う若者を育むという視点から、多方面からの協力を得て実現したものです。

経験と知恵が学生の未来を照らす

今長学氏は、この「知識創造の方法」という授業において、学生たちのプロジェクトを多角的に支援する形でご参加くださいました。

今長氏が担当されたテーマは「20代の投票率を60%にするには」。
日本の未来を左右する社会課題に真正面から挑む学生たちに対し、その役割は単なるアドバイスに留まりません。学生たちが選定したテーマの解決策に対し、長年の社会経験で培われた専門的な視点からの鋭いフィードバックや、実践的な視点に基づいた具体的なアドバイスを惜しみなく提供されました。

学生たちが表面的な議論に終始することなく、より深い洞察を得られるよう、時に「なぜそう考えるのか?」と本質を問う鋭い問いかけを投げかけ、時に「こんな視点もあるのでは?」と具体的な改善策を提示することで、彼らの思考を刺激し、成長の糧を与え続けました。

最終プレゼンテーションの場では、メンターの皆さんより以下のような意見をいただきました。

  • 課題解決への深い洞察の促進: 学生たちの提案に対し、机上の空論に終わらせないよう、現実的な視点から「それは本当に実現可能なのか」「社会にどのようなインパクトを与えるのか」「他に考えるべきリスクはないか」といった深い問いかけをされました。
    これにより、学生たちは表面的な解決策に満足せず、社会実装を見据えた本質的な課題に迫るきっかけを得ることができました。
  • 論理的思考力と表現力の育成: プレゼンテーションの構成や、アイデアの論理的な展開方法について、具体的な改善点を指摘されました。特に、情報が断片的に提示される傾向がある学生たちに対し、「点と点が線でつながるように」「全体として一貫性のあるメッセージを」と、より説得力のある発表を行うための本質的なスキルを伝授されました。
  • 実践的な視点と社会性の導入: 社会人メンターの豊富な実務経験に基づき、学生たちの斬新なアイデアが現実の社会でどのように機能するのか、既存の取り組みとどう差別化を図るのかといった、実践的な視点を取り入れるよう促されました。
    これにより、学生たちは自分たちの学びが単なる学問だけでなく、社会に貢献しうる具体的な力へと繋がりうることを実感しました。


「20代の投票率」への熱い議論:達成された目標と、さらなる課題

最終プレゼンテーション後も、「知識創造の方法」という授業の教員である河野義広先生とメンターの間では、学生たちの学びと社会課題への意識について活発な意見交換が交わされました。特に「20代の投票率を60%にするには?」というテーマについては、以下の議論が行われました。

河野先生は授業終了後、参議員選の投票率を調査し、23人中14人が投票し、投票率は60.1%だったことを報告。この授業の影響があったのか学生の投票率が60%を超えることができました。


校友会が創る未来:社会人メンターと学生の交流がもたらす無限の可能性

社会の第一線で活躍されている校友会会員、そして授業にご協力くださる社会人の皆様が、自身の豊かな経験と専門知識を惜しみなく注ぎ、後輩たちや若者の指導にあたることは、現役学生たちにとって計り知れない価値をもたらします。大学で培った知識が、現実の社会でどのように応用され、どのように新たな価値を生み出すのかを肌で感じられる機会は、彼らの将来のキャリア形成において、非常に大きな羅針盤となるでしょう。

彼らは、メンターとの対話を通じて、単なる学問だけでなく、社会で求められる実践的なスキルや、困難に立ち向かう姿勢を学ぶことができたはずですし、校友会会員ではないメンターの方々との交流は、大学が社会と深く連携していることの証となります。

そして、校友会にとっても、このような形で卒業生が大学の教育活動に直接貢献する姿を示すことは、校友会活動の意義を再認識し、その価値を広く社会に発信する絶好の機会となります。会員同士の連携をさらに強化し、母校への深い愛着と貢献意欲を育むことに繋がります。それは、単なる親睦団体という枠を超え、大学の発展と学生の成長に寄与する、より能動的で社会的な存在としての校友会の姿を具現化するものです。

今回の社会人メンターの参加は、まさに「知識創造の方法」という授業名にふさわしく、学生たちの新たな知識や思考を「創造」するだけでなく、大学と校友会、そして現役学生と社会の間に強固な「連携」と「共創の精神」を創造する、素晴らしい機会となりました。

この経験は、学生たちにとって未来への大きな一歩となり、メンターの皆様にとっても自身の知識と経験を次世代に繋ぐ、かけがえのない時間となったことでしょう。

校友会では、今後も会員の皆様との連携を一層強化し、社会と時代が求める人材の育成に貢献してまいります。
学生たちの成長を多角的に支援するとともに、校友会活動をより一層活性化させ、大学全体の発展に寄与していく所存です。
会員の皆様におかれましても、引き続き母校と校友会への温かいご支援、ご協力を賜りますよう心よりお願い申し上げます。