東京情報大学では、これまで多くの卒業生がそれぞれの道で挑戦し、活躍してきました。
本企画「卒業生インタビュー」では、母校を巣立ち、全国各地でその才能を発揮する卒業生たちの挑戦や成果、未来への思いをお届けします。
今回ご紹介するのは、2006年に東京情報大学情報文化学科を卒業され、現在、大分県を拠点に活躍されている今長学さんです。
インドでの挑戦から、障がいのある方々の仕事を創る事業、そして地域企業を支えるマーケティング活動まで、多岐にわたる挑戦の軌跡をご紹介します。
地方企業を支えるマーケティングコンサルタント・今長学さんの挑戦
学生時代の原点:夢と行動が未来を創る
今長学さんが2006年に東京情報大学情報文化学科を卒業した頃、IT業界は急速な進化を遂げていました。当時、安岡ゼミでMacromedia Flashを用いたアニメーション制作に取り組みながら、「将来はITを活用した仕事で活躍したい」と強く願っていたそうです。
「大学での学びや仲間との時間は、単なる学生生活ではなく、未来への土台を築く大切な期間でした。特にゼミでの制作活動は、自分の考えを形にする楽しさを教えてくれました。そして、仲間たちと過ごした時間は、私にとって生涯の財産です。」
また、当時からアルバイトとしてシステム会社でWebサービスのサーバー監視業務を経験し、IT技術を実務的に学んでいたことも今長さんの強みとなりました。この実践的な姿勢が、後のキャリアに繋がる重要なステップとなったのです。
ガリバーでの挑戦:基礎力を磨く日々
大学卒業後、今長学さんは自動車販売大手ガリバーインターナショナル(現IDOM社)に新卒で入社。
最初の3年間は店舗で営業職を経験しました。
初めての営業現場で感じたのは、お客様との対話がもたらす信頼関係の重要性でした。
「お客様の本音を引き出すのは簡単ではありませんが、丁寧に耳を傾けることで少しずつ信頼を得られる。それを基に提案を行い、結果として満足していただけたときの達成感は格別でした。」
その後、本社に異動し、マーケティングや広報業務、さらにはフランチャイズ店の支援事業にも携わるようになります。
本社での業務では、現場で得た経験を基にした施策立案や実行が求められました。
「現場での経験がなければ、本社での業務は難しかったと思います。店舗でお客様と直接接した経験があったからこそ、実践的なマーケティングの提案ができたのだと思います。」
本社勤務の期間中、今長さんは広告戦略の立案や市場調査、プロモーション企画など幅広い業務に携わり、マーケティングの基本を徹底的に学びました。
この経験が、後のキャリアで大きな力を発揮する基盤となったのです。
インドでの挑戦:異文化の中で見えた可能性
2013年、今長さんは30歳を迎えた節目に「このままの人生でいいのだろうか」と自身のキャリアについて深く考えました。
学生時代から「いつかは起業したい」という夢を抱いていた彼にとって、それは自分の人生をもう一度見つめ直すきっかけとなります。
「どうせ起業するなら、世界で最も人口が多くなるインドで挑戦してみたいという思いが浮かびました。
でも、いきなりインドで起業するのはハードルが高い。まずは現地の企業で働いて、インドのビジネスや文化を学ぼうと考えました。」
こうして、今長さんはインドでの就職先を探し始めます。
ネットで求人情報を調べる中で、南インドのケララ州にあるIT企業の募集を見つけました。
迷わずエントリーし、オンラインで採用面接を受けたところ、なんと採用通知が届きます。
「採用されたと知ったとき、嬉しい反面、本当に自分がインドで働けるのかという不安もありました。
それでも『やるなら今しかない』と覚悟を決め、インドに渡ることにしました。」
渡印後は、オフショア開発のディレクション業務に携わり、日本企業と現地スタッフをつなぐ架け橋として活躍しました。
異なる文化や価値観に対応しながらプロジェクトを進める中で、多様な視点や柔軟なリーダーシップを身につけました。
地元での挑戦:障がいのある人に「仕事を創る」ために起業
2016年、インドでの挑戦を終えた今長さんは、日本に帰国し、大分県でExist Japan株式会社を創業しました。
「障がいがあってもスキルを活かせる仕事を提供したい」という思いから事業をスタートさせました。
「障がいがある方々の中には、素晴らしいスキルやアイデアを持っている方がたくさんいます。
それでも、社会の仕組みや環境が整っていないために、その力を発揮できない人が多い。
それなら、彼らが輝ける仕事を創ることが自分にできる役割だと思いました。」
具体的には、画像切り抜きサービスやLINEスタンプ制作事業を立ち上げ、障がい者の方々がそのスキルを活かせる場を提供しました。特に、LINEスタンプ制作では独特なデザインや感性が評価され、多くのユーザーから支持を受ける成功事例となっています。
「自分がデザインしたスタンプが販売されることで、クリエイターの方々が『自分の仕事が認められた』と喜ぶ姿を見るのが、何より嬉しい瞬間です。」
地域企業を支えるマーケティング事業への進化
障がいのある方々に「仕事を創る」事業を進める中で、今長さんは同時にマーケティング・コンサルティング事業も立ち上げました。
これまでの経験を活かし、大分県内の中小企業が抱える課題に寄り添いながら、解決策を提案する仕事です。
「売上を上げるためには、お客様にとって価値のある商品を創ることが重要です。
そして、その価値を求めている人に正しく伝えることが必要です。私たちはクライアントと一緒に、その両方を考え、実現するお手伝いをしています。」
たとえば、地元の食品メーカーが抱える売上の低迷に対して、SNSを活用したプロモーション戦略を提案したところ、半年で売上が倍増し、若い世代の顧客層を獲得することに成功しました。
「地域企業の成長を目の当たりにしたとき、自分の仕事が少しでも役立ったと感じられるのが何よりのやりがいです。」
セミナー講師としての活躍:知識を広め、挑戦を後押し
最近では、セミナー講師としての活動にも力を入れています。
地元企業や個人事業主、クリエイターを対象に、マーケティングやSNS活用に関するノウハウを伝え、実践的なスキルを共有する場を提供しています。
主なセミナー活動
売上アップを目指す方程式 経営課題解決セミナー
SNS活用やウェブマーケティング、プロフェッショナル人材の活用法
Instagram活用に関するワークショップ
クラウドファンディングセミナー など
「セミナーでは、私自身がこれまでの経験を共有するだけでなく、参加者の視点や質問から新しい発見を得ることができます。
学び合いの場として非常にやりがいを感じています。」
セミナーを通じて、地方でのビジネスを活性化させるだけでなく、参加者自身が次の一歩を踏み出すきっかけを提供することに注力しています。
経済産業省認定のプロフェッショナルへ
2023年、今長さんの会社Exist Japan株式会社は経済産業省の「経営革新等認定支援機関」に認定されました。
この認定は、経営コンサルタントとして信頼が評価されたもので、さらに多くの企業に対して支援を行うチャンスを広げました。
「認定を受けたことで、これまで以上に多様な企業から相談を受けるようになりました。
企業が直面する課題はそれぞれ異なりますが、私たちが提供する支援が少しでも企業の未来を明るくする手助けになると信じています。」
この認定をきっかけに、地域企業の成長を後押しする活動がさらに拡大しており、地方創生の担い手としての役割が期待されています。
未来への挑戦:地域を元気に、日本を元気にするために
今長さんが目指しているのは、お金が理由で不幸になる人を減らすことです。
先進7カ国の中で唯一、日本だけが所得が上がっていない現状に危機感を抱いています。
その課題に対し、地域の企業がしっかりと利益を上げることで、勤めている人々の収入も増え、結果的に生活の安定と心の豊かさにつながると考えています。
「人間の幸せはお金が全てではありません。でも、お金が理由で心の豊かさが失われてしまうのもまた事実です。
地域の企業が利益を上げ、従業員が安定した収入を得られるようになることで、多くの人が笑顔になれる未来を作りたいと思っています。」
その思いの原点には、「大分を元気にしたい、そして日本を元気にしたい」という強い意志があります。
地域経済を活性化するために、まずは地元企業の力になることから挑戦を続けています。
「私の挑戦はまだまだ途中です。
地元企業を支えることで少しでも地域に貢献し、その積み重ねが日本全体の元気につながると信じています。
これからも新しい方法を模索し、挑戦を続けていきたいです。」